クリニカルリーズニングに基づいた腰痛評価と治療 ~オーストラリアで培ったエッセンス~

クリニカルリーズニングに基づいた腰痛評価と治療 ~オーストラリアで培ったエッセンス~

本当に全ての腰痛がイエローフラッグ?
近年、筋骨格系疾患に対する治療・マネジメントとしてBiopsychosocial model(生物心理社会的モデル)という概念が広がっており、それに伴った社会心理的要因というものの重要性も認知され始めています。それと同時に、‘慢性痛’では器質的な問題ではなく、全てが非器質的な要因やイエローフラッグによるものなのか?といった混乱を生じているのも事実だと感じています。皆さんも臨床上経験することがあるかと思いますが、「あぁ、なんだかこの患者さん治りが遅いし、すごくネガティブ思考だからきっとイエローフラッグが関係してるんだろうなぁ・・・」とか、「イエローフラッグの可能性もありそうだけど、もし自分よりも腕がいいセラピストが治療したら治るんじゃないかな・・・」など。そういった疑問を持っている方々も多いかと思います。ただでさえ腰痛の評価・治療となると多くの要因を考慮しなければいけないのに、慢性痛となるとイエローフラッグ、末梢・中枢感作、坐骨神経痛などなど、複雑な要因が多く、評価・治療をどこから始めていいのかがわからない。これは、オーストラリアの臨床でも、セラピスト同士の会話で度々浮上する問題です。実は私も、慢性痛について社会心理的要因などのイエローフラッグを学んだばかりの時に、イエローフラッグや心因的要因がどのように痛みに影響するのかを善意のつもりで患者さんに説明したときに、その方が怒ってクリニックを出ていくというようなことがありました。患者さんの中には、例え社会心理的要因が痛みに関連していたとしても、それをセラピストが伝えることによって、「痛みが本物でなく頭の中で起こっている空想だ」と捉えてしまう人もいます。この経験は、患者さんに大変申し訳ないことをしたと同時に、どのように伝えるかが本当に大事だということを学ぶ、大変いい機会となりました。

-やはり無視できない生物医学的要素-

また、イエローフラッグの把握はもちろん重要ですが、Biopsychosocial modelという名前が示すように、この概念は‘Bio=生物医学的’要素をおろそかにするというものではありません。これは、いわゆる従来の解剖学や運動学、バイオメカニクスに基づいた評価や治療を行うことを無視するわけではないということです。私たちの心と体は、切っても切り離すことができないものです。それらがどのように影響し合っているのか、どの患者さんには関節モビライゼーションや筋・筋膜リリースなどの生物医学的なアプローチが有効なのか、どのような患者さんでは社会心理的要因を考慮してアプローチを変えていかなければならないのか。
そういった疑問に対して少しでもお役に立てるように、今回のセミナーでは、世界で共通知識として認識されている脊柱の評価方法や、近年の評価・治療(Movement Impairment に対する関節モビライゼーション、マニピュレーション、Motor Control に対する運動再教育) 、そしてエビデンスをどのように臨床に落とし込むのかなどを含めたお話しをさせていただきたいと思います。ここで、世界で共通の知識という言葉がありますが、私がオーストラリアの大学院に通っていた時、そこには、イギリス、ノルウェー、香港、シンガポール、オランダなど様々な国の理学療法士が学びに来ていました。そこで、私がオーストラリアで学ぶまで知らなかったPPIVM、PAIVMなどといった脊椎の徒手的評価・治療に使われる用語は、それらの国のPTは当然の知識として知っていたことに驚きました。それと同時に、今後、日本が世界のPT達と会話をしていく上で、これらの知識を当然の知識として知っておく必要とがあるという焦りにも似た感情を覚えました。

そういった背景も含めて、腰痛に関する評価・治療を、二日間に分けて共有させて頂ければと思います。また、少人数制になっていますので、実技指導も受けて頂きやすい環境になるかと思います。この機会に是非、海外で行われている評価・治療を学んで頂き、日々の臨床に役立てていただければ幸いです。


講義内容

  • 問診の重要性について
  • 腰痛の理解(特異的腰痛、非特異的腰痛、レッドフラッグ)
  • 身体的評価
    • 視診
    • 触診
    • AROM
      • Over Pressure (オーバープレッシャー)
      • Combined Movement (複合運動)
      • Repeated Movement (反復運動)
    • Passive Physiological Intervertebral Movement (PPIVM : 脊柱の他動的関節可動域テスト)
    • Pain Provocation Test (疼痛誘発テスト)
    • Neurodynamics (神経誘発テスト)
  • Movement Impairment (可動域制限)障害に対するアプローチ
  • モーターコントロール障害に対するアプローチ
  • 慢性痛に対するクリニカルリーズニングに基づいたペインマネジメント
    • 痛みの基本的理解
    • 慢性痛に関わる要因、中枢感作・末梢感作
    • イエローフラッグの理解
    • 慢性痛のマネジメント
  • ケーススタディとディスカッション

 

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講師:江戸 英明先生

<略歴>
2006 年:帝京平成大学専門学校 理学療法科 卒業
2009年:渡豪
2013年:Curtin University 理学療法科 卒業
2017年:Curtin University Master of Clinical Physiotherapy
筋骨格系專門修士 卒業
<職歴>
2006年:帝京大学医学部附属溝口病院 理学療法士
2013年:Grange Physiotherapy Physiotherapist
2016年:Life Ready Physio + Pialtes Physiotherapist
日時 料金 会場 定員
2018年6月23日(土)13:00〜17:00(座学中心) 2日間:24,800円(税込)
※1日のみの参加はできません。
墨田区内施設(申し込みされた方に連絡します。)

 

26名(先着順)
2018年6月24日(日)10:00〜17:00(実技中心)

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